ゲルニカ

2017年1月12日

1937年、スペイン バスク地方ゲルニカ。
その地でナチスによる無差別爆撃が開始される。 アメリカ人ジャーナリストのヘンリー(ジェームズ・ダーシー)はスペインで取材活動をしていたが、ジャーナリストとしてのプライドを失いかけていた。
共和派の記事検閲機関で働くテレサ(マリア・バルベルデ)は、ヘンリーの過去のジャーナリスト活動の実績を知っていることから、彼にスペインのありのままの現状を記事にしてほしいと頼むが・・・。

僕がスペインのゲルニカという町のことを初めて知ったのは、たぶん栗本薫の「ゲルニカ1984年(初出1984年)」を読んだときだったと思います。
手元にある文庫版は1987年の初版なので、おそらくその頃です。

「ゲルニカ1984年」は、1984年の日本がすでに戦時下にあって、それに薄々気づいていながら見て見ぬふりを続け、ふと空を見上げると巨大な爆撃機が...というストーリーです。

もちろんこの本はスペイン内乱(1936-1939)でゲルニカという小さな町が爆撃された史実を元に書かれたものです。主人公ヘンリーのモデルになったのはジョージ・スティアという、ゲルニカ爆撃の第一報を報じた実在の記者のようです。

一見平和で、なにごともない日常が続いているゲルニカがある日、世界で初めて行われたといわれる大規模な無差別爆撃を受けて大きな被害を受けました。
スペインの内乱なのに爆撃をしたのはナチス・ドイツ(イタリアも支援)、海外記者の報道記事の検閲をしているのはソビエトという複雑な状況下のストーリーなので、バックグラウンドを知らずにいきなり映画を観ると戸惑うかもしれません。

映画は自由に報道できないジレンマを抱えて半ば自暴自棄になっていたアメリカ人の記者と政府の報道局で検閲官として働いているテレサを中心に描かれています。
仕事を通じて惹かれあっていくヘンリーとテレサ、バスク地方の美しい自然、ひたひたと忍び寄る戦争の影、そして起こる悲劇と、ストーリー的には平凡です。
戦争がメインでもなく恋愛がメインでもなく、報道がメインというわけでもない、というような中途半端な印象でした。もう30分伸ばして深く掘り下げて欲しかったという気もします。

「気づいているけれど見ないふり」の末にある結末を中心に描いていれば、今の日本と重なって見える部分というのがあったかもしれません。



20年近く前にスペインを旅行したとき、マドリードにあるソフィア王妃芸術センターでピカソの「ゲルニカ」を見る機会がありました。
横幅が8メートル近くあり、全景を一度に見るのに苦労するような巨大な絵ですが、圧巻という表現はできても、「正直、ワカラン」というのが実物を見た感想だったと記憶しています。
ゲルニカの爆撃が行われず、こんな絵を描かずに済めばそのほうがどれほどよかったことか、というメッセージのような気もします。

余談ですが僕がスペインに行った1998年、ソフィア王妃芸術センターでは入り口でカメラを預けさせられ館内は撮影禁止でした。プラド美術館はストロボを炊かなければ撮影可能でした。
現在は逆になっているらしく、ソフィア王妃芸術センターは「ゲルニカ」とその関連品以外は撮影可、プラド美術館はカメラは持ち込めても作品の撮影は不可となっているようです。
そういえばプラド美術館で日本人の観光客がストロボを炊いて係員に注意されている光景を頻繁に見た覚えがあります。
絵画は一回ストロボ光を浴びると太陽光を数年浴びるくらい劣化するという説明を受けてもストロボを炊く観光客に、いい加減に業を煮やして撮影禁止にしてしまったのかもしれません。

作品情報
タイトル:ゲルニカ
原題:GERNIKA / GUERNICA
上映時間:110分
公開年:2016年
製作国:スペイン
ジャンル:戦争 恋愛
監督:コルド・セラ
製作:ホセ・アルバ ダニエル・ドレイフュス
製作総指揮:バーニー・コーエン マイケル・コーワン
脚本:バーニー・コーエン カルロス・クラビホ
音楽:フェルナンド・ベラスケス
編集:ホセ・マヌエル・ヒメネス
主演:ジェームズ・ダーシー(ヘンリー) マリア・バルベルデ(テレサ)
出演: ジャック・ダヴェンポート(ワシル) イングリッド・ガルシア・ヨンソン(マルタ) アレックス・ガルシア(マルコ) バーン・ゴーマン(領事) アイリーン・エスコラール(イザベル) バルバラ・ゴエナガ(カルメン)


ストーリー ★★★
俳優 ★★★☆
オチ ★★
総評 60 点

映画María Valverde

Posted by takmiya